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大井町コミュニティキャンパスプロジェクトは、6月25日(木)20時から、「多世代シェアハウス研究会」を開催しました。テーマは『withコロナ時代のシェアハウスの課題と価値』、主催は慶應義塾大学SFC研究所上席所員の福澤涼子です。ゲストとして子どものいるシェアハウス 在住者3組を招待し、本人たちがコロナ禍の中で感じたシェアハウスの課題や価値を報告。18名の参加者とともにシェアハウスに留まらず、暮らし・コミュニティ・育児を考えるきっかけとしました。

ゲストからの報告のあとには、参加者同士で意見交換・ネットワーキングができる交流会を開催。活発な意見交換が行われました。

以下、そのサマリーと参加者アンケートの結果を紹介します。なおこの「多世代シェアハウス研究会」は、今後も継続的にオンラインで開催していきます。ぜひご注目ください。

<開催概要>

20:00「大井町コミュニティキャンパスプロジェクト」の紹介


慶應義塾大学総合政策学部 宮垣元教授

「慶應義塾大学SFC研究所は、外部の方と連携しながら様々なラボを運営しています。みらいのまちをつくる・ラボもそのひとつで、その中でコミュニティに関する研究をしているのがこの『大井町コミュニティキャンパスプロジェクト』です。本日はみなさんと問題意識を共有し、経験や考えをシェアしていただきながら、ともに学びあう場にしていけたらと思います」

20:10シェアハウスについて定義のすり合わせ

 慶應義塾大学SFC研究所上席所員 福澤涼子

まず、本研究会でのシェアハウスの定義を確認し、ご参加のみなさんとの認識を統一しました。その他、シェアハウスの数が増えていること、コロナ禍でどのようにシェアハウスがメディアで取り上げられていたのかを説明しました。

20:20ゲストトーク①(東京フルハウス:栗山夫妻)

ここからがゲストトークです。ゲスト1組目は、東京フルハウスの栗山夫妻です。夫婦別々のシェアハウスに住んでいていて、結婚を機に2つのシェアハウスが合体しました。以下は、お話し頂いた興味深い内容の抜粋です。

・シェアハウス内パンデミックはこれまでも大敵だった(過去もインフルエンザなどで、パンデミックが起こっていた)
・故に、このコロナを契機に何かルールを作るということはなく、これまでと同様に注意喚起だけだった。
・一緒に住んでいる限り、感染を防ぎにくいということは前提としてあり、運命共同体と感じていた。
・故に責任論の話ではない、意識はちゃんとする上で、かかったら仕方ないと、みんなが思っていた気がする。
・コロナ禍でのシェアハウスの価値としては、3.11同様に心強さがあった。「シェアハウスに住んでいて、本当によかったね」と何度も話していた。
・コミュニティサイズが小さいもしくは自作型の方が、構成員の意識が強く、シェアハウスの良いところがこのコロナで増幅したのではないか。

20:20ゲストトーク②(たくまりここはうす)

ゲスト2組目は、たくまりここはうすの柴田さん。たくまりここはうすは「家族を持つ練習をする場」として、夫婦が立ち上げたシェアハウス です。以下は、お話し頂いた興味深い内容の抜粋です。

・コロナ自粛下では住人同士で盛り上がるイベントをやっていた。
・共用部分で仕事をしている人が増えて、シェアオフィス化した。
・住人の不要不急以外の外出はO K、来客はN Gということは決めた。
・より住人内のコミュニケーションが増えて温かさが増した。孤独を感じることはほとんどない。
・みんなで大変な時期だけど乗り越えようという意識、目標があった。
・コロナだけではなく、日々些細なことで価値観の違いによる衝突は起こる。例えば、洗い物を乾燥棚に置いておけば良いという人と、拭いて戻すべきなど。そこの価値観の違いをまず知る、そして妥協点を見つけにいくということが大事。
・そのため、発言を挙げてみる、言ってみるというオープンな雰囲気が非常に重要だと感じる。

20:20ゲストトーク③(ウェル洋光台)

ゲスト3組目は、横浜にある大型シェアハウスのウェル洋光台の福岡夫妻です。現在は千葉県に引っ越していますが、コロナ自粛下はシェアハウスとの2拠点生活。コロナ自粛下でのシェアハウス生活は、総じて平和なものだったと話します。

・10年以上、運営されているシェアハウス なので、そこまで慌てることもなく構えていた印象。普段の延長にあったというのが1番近しい。
・中にいると毎日が日曜日のような。庭に子どもがいて、保育士さんがお仕事お休みで、ご飯作ってくれたり遊んであげたりしてくれた。
・コロナに関しては、感染したとしても、シェアハウスの中で収めようということを話していた。シェアハウスの外に広げてしまうと、シェアハウス自体が悪く見られることにつながってしまう。そこは気を付けていけましょうと話した。
・またオーナーが、理系頭脳で数式からコロナ自粛の方針を伝えてくれた。しかし、みんな数式が分からずポッカリしつつ(笑)けど、なんとなく「そういうことなら・・」と納得していた感じ。
・人を縛るということはしないということは、そのまま残していて、それで問題が全くないわけではないが、総じて穏やかだった。

<交流会>

21:00交流会

ゲストトークの後は、休憩と写真撮影の時間を挟み、シェアハウス在住者を含めた3〜4人グループでの交流会を実施しました。

21:20 交流会での内容を発表

各グループ代表の方々にどんな話が展開されていたのか、報告いただきました。短い時間でしたが、距離をグッと縮めていろいろ聞くことが出来たようで、楽しい報告がたくさん上がりました。

21:40 終了

以上が開催レポートです。続いて、参加者アンケートよりご意見・ご感想の一部をご紹介します。

<参加者アンケートより>

参加者の多くが、研究会からたくさんの学びがあったとご回答いただきました。また80%の方が懇親会まで参加され、意見交換の中から刺激や気づきを得たようです。研究活動についてもさまざまな意見が寄せられ、今後の活動のヒントを得ることができました。ご協力、ありがとうございました。

(1)参加状況

研究会+交流会 81.8%
研究会のみ 18.2%

(2)シェアハウスに住んでいますか?もしくは過去にシェアハウスに住んだことはありますか?

参加者のうち、シェアハウス居住者は3割弱にとどまりました。7割の方々は、シェアハウスに住んでいないけれど本テーマに興味のある方々ということです。

(3)本日の研究会で最も印象に残ったことはどんなことですか?何か気づきや学びはありましたか?具体的にお聞かせください。

・シェアハウス居住者同士の人間関係や距離感、意思決定プロセスなど。マンション管理組合以上家族未満という印象。シェアハウスと一言で言っても、社員寮的なものから下宿的なものまで、いろいろあるのだなと思いました。運営するなら、コンセプトやブランディングも必要だと思いました。それにそぐわない人の居住を拒否できるのか否かは課題ですが。
・最初の共通認識を合わせるためのスライドがわかりやすかったです。 1番印象的だったのは、数学で人との接点を減らさなくていいということを数学で証明した方のお話。例えば数学のように、色々な専門を持つ人がその専門を活かして伝えられれば、シェアハウスの魅力ももっと他の分野に伝わるのでは?と思った。
・シェアハウスは興味がありますが、向き不向きがとてもあるのだなと感じました。一緒に暮らす以外の生活のシェアリングもあるといいなと思います。醤油の貸し借り、ご近所付き合いのアップデートでしょうか(笑)
・シェアハウスは若者、独身者のイメージだったのでファミリー層も意外と多い事。シェアハウスで子育てをするという新しい選択肢を見つけることができた。思った以上に理想的だったので自分もやってみたいと思った。家庭内トラブルの対策にもなりそう。
・コロナの中でのシェアハウスは思ったより寛容であったということがわかった。
・シェアハウスに住みながら、それを研究対象として考えている方々がいらっしゃり、興味を持っている人が一定数存在すること。逆に言えば、「いいね!」という立場の方々の集まりになってしまう危険性もあること。

(4)本日の勉強会で、疑問に思ったこと、登壇者や研究者に質問したいことがありましたらお聞かせください。

・シェアハウスへのニーズや、そこに住むことへの障壁。採算性、運営における問題点。外国人の受け入れについての現状。地域コミュニティとの交流親和性の実態 など。
・シェアハウスは田舎でも成功するかどうか。
・昨夜の事例もそうですが、シェアハウス自体に多様なあり方が存在するので、Pros & Consの両方を冷静に客観的に提示した上で、今後の提言等としてまとめていただければ、より有益かと思います。

(5)交流会に参加された方にお伺いします。交流は有意義でしたか?何か気づきや学びはありましたか?具体的にお聞かせください。

・シェアハウス関係者の生の声を聞ける場としては有意義だったと思います。が、それだけで終わった感もあります。子連れ家族居住人がいるのは驚きでした。話者のシェアハウスでは、運良く融和的な雰囲気の様子でしたが、泣き声、騒音などで諍いやストレスなどが生じたりしないかと気になりました。
・シェアハウスに住んでいる人がもう1人いて、その方のコメントがとても共感できました。また、住んでいない方からの質問も、こういうところが気になるんだな〜ということが分かって興味深かったです。
・3人から4人の少人数グループで話すことで、学びが深まった。
・皆さんが、どのようなモチベーションで参加されたのかを聞けたのが面白かった。またシェアハウスにお住まいの方はコミュニケーションの充実に満足度されていたり、シェアハウスに興味のある方は家族以外とのコミニケーションを求めている事がわかり、人の価値観はそれぞれだなと感じた。 私は逆に自粛期間中に他人とのコミュニケーションをとらない時間が快適だったので、シェアハウス向きではないなと思いました。
・有意義でした。イメージしていたシェアハウスというのは、価値観の似た若い人が家賃を抑えるために仲良く暮らしている――程度のものだったのですが、それよりもひとつの村のように、お互いに助け合って生きているのだな、とより様々なシェアハウスの形をイメージすることができました。

(5)本イベントの運営に関する感想や改善点などお気づきのことがありましたらお聞かせ下さい。

・グループワークでは、もう少しテーマを固定して、グループごとにファシリがいた方が良いと思いました。あまり関係ないことないことをグダグダ長く喋る人、ほとんど発言できない人がいたのが残念でした。シェアハウス住人への質問会的な側面も強かったので、それはそれで、各人のプレゼンの後に実施して、共有すべきだと思いました。
・個人的な話で恐縮ですが、私も個人でシェアハウスの会をやっていて、同じような質問があったりその場で考えた回答になることが多いので、それらを体系的にまとめたいという気持ちが自分の中で湧き上がりました。 とこんなことを言ってあれですが、イベントももちろんとても意義のあることだと思います。このコミュニティだからこそアクセスできた人がいたんだろうな〜と思うので、、ぜひ続けて頂きたいです!次回も楽しみです^^
・他にも様々話したい方がいたので、連絡先交換タイムなど、あったら嬉しかった。
・非常に有意義な会でした、ありがとうございました!
・事例発表者に対する質疑応答の時間を設定することが、やはり大事だと思います。あの時間枠でしたら、事例発表者は2名だった方が適切かも知れません。

(6)「多世代シェアハウス研究会」の活動で、今後取り上げてほしいテーマや、もっと聞きたい内容があれば教えてください。

・シェアハウスに需要を感じている人はどのような観点で需要を感じているのか。
・研究のことについて深く知りたい。
・田舎でのシェアハウス 、空き家活用について。
・シェアハウスの良さだけではなく、起こりうる問題やトラブルの掲示なども必要。

以上です。改めてご参加いただいた皆さん、誠に有難うございました。

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