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2022年1月16日(日)に、みらいのまちをつくる・ラボの大井町拠点にて、「多世代型シェアハウス研究会」の第10回勉強会が開催されました。今回は、シェアハウスで育った映画監督・加納土さんのドキュメンタリー映画「沈没家族」の上映会に続き、加納さんと都内でシェアハウスを運営する栗山夫妻との座談会、気づきや感想を共有するワークショップという三部構成での開催となりました。「多世代型シェアハウス研究会」として初のオフライン勉強会でしたが、感染対策に気を配りながらも、15人の参加者が熱心に意見交換を行う、大変有意義な学びの場となりました。

開催概要
2022年1月16日(日) 映画上映90分 ワーク&座談会60分
ゲスト:加納土さん(映画「沈没家族」監督)、栗山和基さん・奈央美さん夫妻(都内でシェアハウス運営)
参加者:大人15名

映画の内容
1995年当時、東京の東中野で一人のシングルマザーが「共同保育」を目的にシェアハウスを始めました。そのシェアハウスで1歳から8歳まで育った加納土さんは、大学生になって改めて「自分の育った環境は何だったんだろう」とドキュメンタリー映画を撮ることにしました。1995年当時もメディアでもよく取り上げられていたため、当時の映像と、新たに撮影したインタビュー動画によって構成されております。シングルマザー、自分を育ててくれた血の繋がらない多くの住人たち、一緒に暮らしていない父親、そして子ども本人…彼らのコメントを通じて、家族とは何か、また他者との共同育児の可能性などを改めて考えさせられる作品です。

参加者からの感想
映画をご覧いただいた皆様から以下のようなコメント・感想が寄せられました。
・一人の子供を育てるのにひとつの村が必要だといいますよね。自分も異国で子供を産み育てながらその言葉を実感しました。土さんのお母さんは生きるために沈没(※住んでいたシェアハウスの呼び名)を作ったのですね。その強さと愛に感動しました。沈没家族は、家族ではないかもしれないけど、大変な時期を一緒に乗り越えた戦友のような気がしました。

・お母さんの「自らの生きやすさ」を見つけながら生きていく姿に共感します。私もそういうタイプのシングルマザーです。

・たくさんの大人のいる環境で子どもが育つのは子どもの視点から”あり”だとわかった。

・みんながふらっとそれぞれの育児をしていることが驚きでもあり、どこか懐かしい気持ちになった。関わる家族が楽しそうで、自由な大人が多くて、子供に対して大人へのイメージが変わるかなと思いました。父の存在がびっくりした。「家族になりたかった」という姿が印象的だった。現代の夫婦にも通じるかなと思った。

・子供を持つ前だったら、「こんな家族もあるんだな」という気持ちだったと思いますが、穂子さん(※加納さんのお母さん)や山さん(※加納さんのお父さん)、関わっていた方々の思いも伝わってきて心に響きました。土さんの存在が多くの人の心を動かしてきたのだと思いますし、こういう映画という形でそういうことをシェアしてくださり感謝です。

・自分の子どもの頃を思い出した。大勢の大人の楽しそうにしている姿をみるのが大好きだった。大人が勝手に好きなことをしていたら、子どもも自由にしていいって思っていたのを思い出した。

・自分の子供をたくさんの他人を巻き込んで育てることは、多様性の学びにはなるとは思うけど、一方である程度、自分の価値観を形成していく年齢に差し掛かると難しくもあるのかなと感じる。

・沈没家族で子育てに関わった人たちが、男性が圧倒的に多かったので興味深かったです。たまごさんが子供は好きだけど、自分の子どもだとどうして良いかわからないと言っていたのが印象的でした。他人の子どもだからこそできるって言っていたのも。

・家族って何だろうと改めて考えさせられました。

・正直な思いがリアルに見えて、なかなか理想通りにはいかなくても、いろいろな形で生きていく強さというか、一人一人ひととして形が見えて考えさせられました。

・自分の住んでいるシェアハウスの平均年齢が25歳なので、赤ちゃんがいる暮らしの想像になりました。

・血の繋がった家族以外で住むという選択肢をとらなかった瞬間に「主体的であるかどうか」が大事になるというのが興味深かったです。

・共同保育は誰でも出来るというように思ったけれど、同時に穂子さんの芯の強さがあるからこそ続くものだったかもしれないなとも思った。

主催・福澤涼子(慶應義塾大学SFC研究所 上席所員)からのコメント
今回は初のオフライン勉強会ということで、非常に有意義な時間となったと感じました。まず、これまでオンライン勉強会に参加していた方々と、初めて対面で顔を合わせることが出来たのですが、会った瞬間から名前で呼び合えるような仲となっていることが非常に興味深く、オンラインでもコミュニティが育まれているのだと感じました。

また会が終わった後も、相変わらずの放課後タイムがあり、多くのみなさま1時間以上そこに留まり、意見交換や、連絡先の交換、加納さんや栗山夫妻への質問などをされていました。書いていただいた感想を読んでも、みなさまがいかに関心高くこの会に臨んでくださったかがわかります。

この会を通じて、改めてこうした学び合いのコミュニティの可能性を感じました。ご参加いただいた皆さん、ゲストの加納土さん、栗山夫妻、本当にありがとうございました!

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