慶應義塾大学SFC研究所みらいのまちをつくる・ラボは、NPOまちづくり大井と共催で、『大井町まちづくりワークショップ~歩いて、見て、語って、大井町の魅力と課題』を2022年7月2日(土)13時~16時で開催しました。以下、そのレポートとなります。
◆開催趣旨/慶應義塾大学 厳網林教授
ポストコロナにおいて、人々は過密集中を避けつつ、快適に過ごせる職住環境を求めます。都心に程近い大井町はその好立地にあり、新しいまちづくりのフロンティアとして期待できます。そんな大井町を更なる魅力あるまちにしていくために、大井町で暮らし、または、働く方々と共に、街を歩いて、みて、まちの魅力を語ることで、アフターコロナのまちづくりの可能性と課題を考えたい。そんな「大井町まちづくりワークショップ」を兼ねてから企画してきましたが、度重なるコロナの感染蔓延で何回も延期されました。2022年7月2日にようやくキックオフの回が出来ました。⼤井町住⺠の⽅はもちろんのこと、NPOまちづくり⼤井、⾼校⽣、厳研究室の学⽣と総勢約30⼈に参加いただきました。
◆プログラムレポート
1.まちの動きを知る
当日、まずは、⼤井町まちづくりの中⼼的役割を果たしているNPOまちづくり⼤井の加藤事務局⻑に2002年りんかい線開通後から最新の⼤井町のまちづくりの歩みを話していただきました。その後、慶應義塾大学厳網林教授から厳研究室におけるコロナ前から後までデータをもとにした研究調査と結果を共有しました。コロナ前では⼤井町の地理的特徴、歩⾏環境、緑被など、コロナ後は主に⼤井町近辺の⼈の移動の変化が見られました。
2.大井町を歩く
基礎知識を共有した後、若い⽅/年配の⽅、地域住⺠/地域外住⺠など属性の異なった2⼈組のペアを組んで、実際に⼤井町駅周辺の街歩きを⾏いました。漫然と歩くのではなく、今和次郎の考現学を参考に⼀つの項⽬について同じ⾓度・画⾓で街を注意深く観察する方法を勧めました。
3.⼤井町を語る
街歩きで得た情報をもとに、6⼈程度のグループ4つになって各々の気づきを話し合いました。その後、地球環境が許容できる範囲の中で⼈間の⾃然に対する活動と社会的活動を両⽅満たすことを⽬指したドーナッツ経済学を都市のスケールに落としたCity Portraitのフレームワークを使⽤して意⾒や気づきをを整理しました。City Portraitでは、ローカルとグローバル、社会と自然の2軸で情報を整理することによって、まちの現状→現状を改善できる潜在的なポテンシャル→まちを超えた広域の影響→⽣態系を含めた地球全体への波及効果といった具合に整理することができます。初対⾯の⼈、異なるバックグラウンドを持った⼈同⼠のグループで、⽩熱した議論が⾏われました。
4.発表・⾃由討論
街歩きの気づきとフレームワークでの情報整理から⼤井町という街が⽬指すコンセプトとタイトルを決めて、最後には全4班がそれぞれ発表を⾏いました。班によって着⽬点は異なり、交通の便の良さを全⾯に押し出す案や、地区ごとにテーマを設けた開発、商店街⽂化に焦点を当てたものなどの発表がありました。どの案の発表後にも質問やコメントが⾶び交い、発表終了後に個⼈的な街づくりの案を提案してくださる住⺠の⽅もいらっしゃるなど、活発な議論が⾏われました。今後もワークショップを継続して⾏い、住⺠主体での⼤井町のまちづくりを⽀援していきます。
初めての集まりでしたが、参加者はHPや友人紹介など多様なルートから来ており、それぞれ「参加してよかった」「次回以降もこのようなイベントに参加したい」との声が多く聞かれました。