
大井町コミュニティキャンパスプロジェクト・多世代シェアハウス研究会は、2025年3月22日(土)14時から、自主勉強会「北欧シェア居住から、住まいを考える」を開催しました。主催は慶應義塾大学SFC研究所上席所員の土井原奈津江と福澤涼子です。
【勉強会概要】
タイトル:北欧シェア居住から、住まいを考える
日時:2025年3月22日(土)14:00~16:00(その後、懇親会60分)
開催方法:対面(一部遠方などで参加できない方のためにZoomあり)
参加者:20名
参加費用:無料
【勉強会の内容】
2024年9月に実施したデンマークでの「シニア向けコ・ハウジング」の視察報告を行いました。まず、福澤から「なぜデンマークでシニア向けコ・ハウジングが普及しているのか?」について、国土、社会政策、文化的背景に基づいて説明がありました。その後、土井原からコ・ハウジングの具体的な事例や運営において重要な要素について報告がありました。
次に、テーブルごとに「コ・ハウジングについて印象に残ったこと」「日本でこうした暮らし方を広げるにはどうすればよいのか?」というテーマでお話会を行いました。
出てきた意見を一部抜粋します。
- 共同生活のためには、幼少期からの話し合いのスキルやトラブルマネジメントについての教育が重要ではないか?
- 自治体が保守的で、こうした新たな住まいを積極的に進めていこうとしない。日本ではオーナーの負担が多すぎるので、参加する人が少ない。
- デンマークは居住者主導の意思決定がある中で、それを行政がうまくサポートしている。公私の関係が日本とは大きく異なる。
- 日本とは人口密度が違う。広いコモンスペースを日本で用意することは難しい。日本人は食事に対する要求水準が高いので、住人の分をまとめて作るコモンミールの負担が大きくなりそう。
- 仮にデンマークのように綺麗な建物を用意しても、他人と暮らしたい人が日本でどれだけいるのだろうか。表面的な丁寧な暮らしを演じるのではなく、内面をさらけ出し合うような関係や居場所が大事。
各テーブルから、全く異なる視点での話が出てきて、どれも興味深いものでした。
【懇親会】
勉強会の後は、少量ですがおつまみとアルコールを用意し、その場で懇親会も実施しました。多くの参加者が残られ、和やかな学びの場となりました。20代から70代まで幅広い年代の方が参加されて、世代間交流も見られました。
【勉強会の感想】
勉強会の感想について、アンケートから一部抜粋します。
- 私自身は将来的にコ・ハウジングでの暮らしや、そうした老後を迎えたいと思っているのでデンマークの事例で具体化された点が良かった。一方で実現するうえでの価値観・コミュニケーションスキル・ハード面の制約も見えてきて、学び深かった。
- 国の違いがあまりにも大きい。
- 日本はこれからだなと感じました。
- 話し合いにより合意的に見出していくという国民性が小学生からの教育から出ていることは驚きました。
- 高齢になったとき、そもそも自分はどう住まいたいのか、根本的な質問をつきつけられたような気がしました。
- シェアハウスの形、独居老人の解決など様々な課題の新しい解決アイディアがたくさんあるように感じました。
- 政策、教育、国民性、国土、人口、経済あらゆる点で違うデンマークと日本。遠い目になってしまうが、共通するのは高齢化社会。日本人の日本人による社会住宅(コ・ハウジング)の成功は早急に考えるべき。
- デンマークでのお写真を見るとすごく素敵なので憧れますが、これを日本と同じように実現することができるのか?いろいろと課題がありそうです。土地の広さ、個人主義などなど。政府の力も借りて、コ・ハウスが広がっていけると良いと思います。
- いろいろな意見が聞けて面白かったです。国民性、教育、考え方などなど、課題が多いとは思いますが、日本に合った方法を見つけて進めていかないと、時間がないなぁ・・。
- 高齢社会において、シニア向けに安心して自分らしく生きられる住まいは、ニーズがあるのはある意味当たり前ですが、高齢者だけだとそこでも高齢化による運営の難しさが出てくる。デンマークでは次の行き先があったりするが、日本を見ていると住宅が施設化せざるを得なくなるのか?いろいろ考えて実際にチャレンジしていきたいですね。
- コ・ハウジングもグループリビングと同じことが多いようです。社会的な違いが大きくうらやましい。
- 若い世代、これからコ・ハウジングに住もうとしている人、研究者など多様な関係者の話が聞けて良かったです。
- 北欧のきれいな暮らしは素敵と思うが、やはりどこか嘘くさくも感じた。少なくとも日本で同じものがあったらあやしい。高齢になったらどうするのか、自分の親のことを考えてしまった。一人でいることも良いことだが、他人とかかわることでしか、人は幸せにはなれない。
- テーブルのディスカッションは参加者の専門性の多様性が生かされて、実践家のお話も聞けて有意義な時間でした。各テーブルの発表で異なる視点のコメントが聞けて視野が広がりました。デンマークを準拠枠にして日本の課題について考えるきっかけをいただきました。
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開催レポートは以上です。
ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。
この勉強会は定期的に開催予定ですので、参加を希望される方はお問い合わせフォームよりお問い合わせください。