「ベンチ」からまちづくりに挑戦するフクビ化学工業の川又周太さんが登場!「みらいの大井町をつくる・ラボ」(FMしながわ)第56回放送レポート
「FMしながわ」では、2020年4月より、慶應義塾大学、飯盛義徳研究室・大井町元気プロジェクト所属の学生によるレギュラー番組『みらいの大井町をつくる・ラボ』が放送されています。コンセプトは、大井町や住民の方の「いま」と「みらい」。大学生ならではの目線から大井町の魅力や可能性、住民の方の生の声を発信しています。11月6日(水)18時から、第56回目が放送されました!
今回のパーソナリティーは、水上晶愛(2年)、塚本遥香(1年)が務めました!今月も「もっとしなラジ889」FMしながわのスタジオから、生放送でお送りしました。
■5月の放送内容
1.オープニング
今回は10月から飯盛義徳研究会に入った塚本遥香が初めてメインパーソナリティーを務めました。
最初に大井町元気プロジェクトの活動報告です。まず10月18日(土)に行われた【PARK COFFEE 3周年イベント】に大井町元気プロジェクトも出展しました。今回、ゲストで来ていただいた川又さんは、このイベントで出会った方です。大井町での素敵な出会いに感謝しながら、番組がスタートしました。
また大井町元気プロジェクトのYoutubeチャンネルの一本目の動画が、このたび再生回数1000回を突破しました。ぜひ皆さんも「慶應 大井町」で検索してみてください。
2.みらい対談
続いてのコーナーは、大井町への思いや、ゲストの思い描く未来についてお話を伺う、「みらい対談」です。今回は、フクビ化学工業株式会社の川又周太さんにお話を伺いました。
まず川又さんに今のお気持ちと意気込みをいただきました。
川又さん:ラジオもテレビも初めてでドキドキしていますが、何とか1時間乗り切ろうと思っています。
Q.では自己紹介からお願いします!
フクビ化学工業株式会社の川又と申します。入社して21年目になります。ずっと大井町の東京支店に勤めているので、大井町歴も今年で21年になります。
Q.今取り組まれている活動の詳細を教えてください。
当社は建材メーカで内装の建材を開発・販売している会社なんですけれども、新規事業で新しく屋外家具という分野を開発いたしました。私が担当してる「ファンダライン」は2020年の4月に検討し始めたベンチを中心とした屋外家具のブランドになります。
Q.フクビ化学工業の名前の由来は?
フクビ化学工業の本社は福井県にありまして、元々はフクイビニール工業という会社名でした。途中で会社名を変更して、今のフクビ化学工業という名前になっております。
Q.20年間以上、大井町で過ごす中で大井町の変わったなと思うところはありますか?
特に変わったのは駅前の風景ですね。今、駅前の広場の前にアワーズイン阪急という大きな商業施設・ホテルがありますが、数年前にできたものになります。また、ヤマダ電機があるところは、昔は丸井でした。
Q.逆に大井町の変わっていない部分は?
昔から商業を行っている方々が、今もご健在で商業を続ける点ですね。大井町は新旧混ざって開発を行っているところがとても良いところだと感じております。
Q.大井町のオススメのごはん屋さんや行きつけのお店はありますか?
やっぱりまずは 「Park coffee 」さんですね。後は、「こいさご」さんという居酒屋さんが1年前くらいにできまして、そこがオススメですね。「お風呂の王様」も大好きです。まさに都会のオアシスだと思います。私も遅くなってしまった日は、何度か「お風呂の王様」にお世話になったことがあります。
Q.お店の客層や大井町に来る人は、20年前と比べて変わったと思いますか?
変わりましたね。昔は年配の男性のサラリーマンの方がほとんどでしたが、最近は若い方や女性の方などいろんな方が大井町にいらっしゃると感じております。特にお子さんを連れたママ世代が増えたように感じます。大井町にもお子さんを連れたママ世代が行きやすいお店が増えてきているように感じております。
Q.大井町がこれからどう変わっていって欲しいですか?
今、広町の大きな再開発が行われておりまして、これからも町は大きく変わって行くとは思うのですが、昔ながらの部分を残しながら町が発展していけば良いなと思っております。
Q.大井町の好きなところは?
人が好きですね。住んでるわけではないのですが、人の顔がよく見えるような町かなと感じています。新しい人も馴染みやすい町。今後、どのように新旧が入り混じっていくかが、非常に大事なところになると思っています。
Q.大井町で課題に感じるところは?
やっぱり、ベンチが少ないところですね、笑。先ほど街の風景は大きく変わったとお伝えしたんですけれども、ベンチの風景は全く変わっていないですね。
Q.どのように大井町のベンチの風景を変えたいですか?
ベンチっていろんな効果があると思うんですけれども、まずはちょっと休めるところをつくっていきたいですね。また、地域と地域のコミュニティの観点でもベンチが重要だと思っています。なので、いろんな切り口でこれから大井町にベンチを増やしていきたいと思っております。
3.みらいの部屋
このコーナーでは大井町の最新のニュースや課題を一つ取り上げて、みんなで一緒に、未来の大井町について考えていきます。今回はみらい対談に引き続き、川又さんと共に「ベンチが生みだす街の空間」をテーマに、ベンチの可能性と大井町の今後について考えていきました。
Q.まずフクビ化学工業さんが制作されているファンダラインシリーズとはどのような商品なのでしょうか?
川又さん:ファンダラインシリーズは基本的には屋外家具シリーズになります。ベンチとかテーブルとかプランターといった屋外で使う備品を取り揃えているんですけれども、特徴的なのは「まちってもっと楽しいはずだ」というスローガンを掲げているところです。ブランドミッションは、「人とまちとの関係が親しくなる」。ただ単にベンチを売るということではなくて、「場」や「こと」をつくっていくことを意識して開発したブランドシリーズになっております。
大内:ベンチというと公園に置かれているものをイメージされる方が多いと思うんですけど、水上さんはベンチにどんなイメージを持っていますか?
水上:公園にあるベンチはお母さんが子どもたちを見守っていたり、ちょっと一息つきたいとき、誰かとしゃべりたいときに使っているイメージがありますね。
大内:確かにね!川又さんがさっき居場所という言葉を出してくれましたが、公園だと親子の居場所としての使われ方もしているんですね。
川又さん:公園ではベンチがあるのが当たり前なのに、日本ではなぜか街にベンチがあるのが非常識なんですよね。諸外国では公園にも街にもベンチがあるのが当たり前なんですよね。
坂本:丁度、今年の9月にイタリアに旅行で行ったんですけれども、確かに街を歩くと座るところには困らないくらい至る所にベンチがありました。
Q.ファンダラインシリーズ以前の日本のベンチにはどのような課題がありましたか?
川又さん:日本の公共の場では、どうしてもベンチを置くことをネガティブに考えがちなんですよね。ベンチを置くと人が集まって、何かいたずらされるんではないだろうか、とか騒ぎになってしまうのではないだろうかというような発想から、極端に座りにくかったり、人が寝そべりにくいように障害物があったりするようなベンチがスタンダードになっております。
坂本:確かに、公園にある僅かなベンチもあまり座りやすさには特化していないし、駅のベンチも人が寝てしまわないようにデコボコになっていますよね。
川又さん:ベンチは昔からある概念ですけれども、日本にはフラットで使いやすいベンチがないなと感じまして、この開発に至りました。
Q.ファンダラインシリーズのベンチを製作する上での工夫は何かありますか?
川又さん:固定的にソファーベンチを街中に置くのはちょっとハードルが高いんじゃないかなと思いまして、我々は背もたれのあるベンチと背もたれがないベンチを組み合わることによって、時にはソファーになったり、時には普通のベンチになったり、というような形でより日本に馴染みやすくなる工夫をしているところがポイントだと思います。
Q.この前のPark coffee 3周年イベントで置かれていたベンチにはどういった特徴がありますか?
川又さん:この間、メインで置かれていたものは、新商品のコンクリートの足のベンチで重たいベンチになります。ファンダラインシリーズは基本的には床に固定できるようになっているんですけれども、床の下地によっては固定できない状況もあります。そういった時に極端に重くて人に持っていかれないようなベンチが求められます。そういった種類のベンチを今回の Park coffee では置かせていただきました。
坂本:Park coffee 3周年イベントは1日限りだったと思うんですけど、運びやすくする工夫があるんですか?
川又さん:そうですね、分解しやすくしていたり、ボルトで簡単に固定しやすくしていますが、ファンダラインシリーズは基本的に重たいベンチなんです。特にこのコンクリートのベンチは重いのですが、お客様の声を聞く中で、仮設の軽いベンチにはゆったり長くいれない、という印象があったのであえて安心感のある重いベンチを製作しています。
坂本:水上さんは当時、実際にファンダラインシリーズのベンチに座ってみてどうでしたか?
水上:凄く居心地がよくて、ずっと座っていたいと思いました。色や素材にもこだわりを感じました。
Q.ベンチの取り組みを始められたきっかけは何ですか?
川又さん:もともと、ベンチで使っている素材というものは、ウッドデッキなどの既存の建材で使っていたものなのですが、新規事業を考えるのにあたって、この素材を使うことでスピード感をもって世の中に出せるな、と思いまして素材を横展開いたしました。
Q.ファンダラインの名前の由来はなんですか?
川又さん:ファンダラインのファンは、誰かのファン・愛好者という意味合いがあります。ただ単にベンチを売るということではなくて、「このブランドのファンをつくりたい」という想いが根底にありまして、このファンダラインという名前をつけさせていただいております。
大内:スタジオの収録前にお話していた時に、ベンチに名前をつけられていると伺ったんですが・・・
川又さん:はい、実はベンチに世界中の人の名前をつけております。ルーシーベンチだったり、ルシアンベンチだったり、ブリアンベンチだったり、これもやっぱり人の名前をつけることによって愛着を持たれるっていうところを狙っております。最終的にはブライアンベンチではなく、ブライアンと呼んでもらうのが目標です、笑。ちなみに、13種類ある中で僕の推しはメランダベンチですね。
Q.ベンチの研究をされていたりするんですか?
川又さん:去年からベンチの効果を学術的に解明していきたいと思い研究を行っておりまして、言葉ではベンチを置くと休むところが多くなったり人が集まったりと伝えるんですけど、実際定量的なデータは持っていないので、提案力を高めるためにベンチの研究というものを早稲田大学と一緒に行っております。
Q.大井町でベンチを置くとしたらどこに置いたらいいと思いますか?
川又さん:そうですね、いろいろあるとは思いますが、東小路とかいいんじゃないかなと思いますね。法的に難しいところはあるんですけど、あそこをただ単に通るだけの空間にしてしまうのではなく、居場所をつくるというのがあってもいいかと思います。あとは、駅前広場にももう少しベンチがあってもいいのかなと思います。ベンチがあることでいろいろな出会いが生まれると思っています。ベンチがあることで、そこに人がいることが実感できますよね。建物の中に入ってしまうと、いくら人がいても人の存在を感じられないので、ベンチがあることでこの街には人がいるんだなと実感出来るのは重要なことだと思います。
川又周大さん、本日は本当にありがとうございました!
5.インフォメーションセンター
慶應義塾大学SFC研究所からのお知らせです。
このたび、慶應義塾大学SFC研究所と品川区およびNPOまちづくり大井の共同プロジェクトが、 東京都の令和6年度補助事業に採択されました。 プロジェクトのテーマは 「デジタルエリアデザインの共創 in 大井町〜歩きやすいまちから歩きたくなるまちまで」 です。本プロジェクトの発足に合わせて、キックオフ講演会を開催します。 日時は、今月11月21日 (木)15:00から。 場所は、 SFC研究所「みらいのまちをつくる ラボ」です。 参加費は無料です。 お申し込みは専用フォームから受け付けております。詳細はこちら(https://oimachi-keio.com/pj/20241109/)もしくは番組X(旧Twitter)をご確認ください!
■今回放送した楽曲(選曲者コメント)
・OPテーマ:あいみょん 『ハルノヒ』
・SEKAI NO OWARI『RAIN』
・Stevie Wonder 『ISNT SHE LOVELY 』
・Vince Guaraldi 『Linus and Lucy』
川又さん:ファンダラインのベンチの名前にもあります、ルーシーという名前が入った曲です。
・VAUNDY 『花占い』
次回、第57回放送は、12月4日(水)18時〜です。番組では、リスナーの皆さんからのおたよりを募集しています。
X(旧Twitter)アカウント:@oimachi_lab
公式ハッシュタグ: #大井町ラボ
番組の感想やメッセージ、要望、アイデアなど、どしどしお送りください!
(レポート/慶應義塾大学 総合政策学部1年 塚本遥香)