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「FMしながわ」では、2020年4月より、慶應義塾大学、飯盛義徳研究室・大井町元気プロジェクト所属の学生によるレギュラー番組『みらいの大井町をつくる・ラボ』が放送されています。コンセプトは、大井町や住民の方の「いま」と「みらい」。大学生ならではの目線から大井町の魅力や可能性、住民の方の生の声を発信しています。10月2日(水)18時から、第55回目が放送されました!

今回のパーソナリティーは、江夏大也(3年)、能願結(3年)、塚本遥香(1年)が務めました!今月もケーブルテレビ品川のスタジオから、生放送でお送りしました。

 

■10月の放送内容

1.<オープニング>

今回は、10月から飯盛義徳研究会に入った総合政策学部1年の塚本遥香(つかもとはるか)さんが初登場です。

塚本さん、初めて来た本格的なスタジオにとても緊張していました。元々メディアに興味があって、中学高校時代は6年間放送委員でした。学校のお昼の時間や行事の時に放送をしていたそうです!ラジオはよく聞くそうで、乃木坂46のオールナイトニッポンが大好きだそうです。これからの活躍に期待しましょう!

2.<みらい対談>

続いてのコーナーは、大井町への思いや、ゲストの思い描く未来についてお話を伺う、「みらい対談」です。今回は、地震学・災害情報・防災教育等を専門として、大学の教壇に立ち、最新の研究を進める慶應義塾大学環境情報学部大木聖子准教授にお話を伺いました。

Q.まずは自己紹介をお願いします!

慶應義塾大学環境情報学部准教授 大木聖子(おおきさとこ)です。大学では、地震学、防災教育を教えています。高校一年生の時に阪神淡路大震災が起き、悲惨な被災現場を見たことが地震学者を目指したきっかけです。

Q.学生の時は、地震についてどのように学んでいましたか?

地震学は、実は物理とか数学とか理系の分野で、大学は北海道大学の理学部に進みました。理学部の中でも地球惑星科学科という、地震や気象学、火山学を学べるところで地震を専攻しました。その後、東京大学の大学院に進み、地震の中でも海底火山、海底地震を研究していました。3週間くらいグアム周辺の海で、船上生活をしていたこともありました。

Q.日本に地震の研究をしている人は何人くらいいるんですか?

地震を研究している人は、意外と少なくて、日本で1000人くらいと言われています。もっと少ないかもしれません。地震学を学べる大学も、いわゆる旧帝大という東京大学や京都大学などの国立大学くらいしかありませんでした。

地球物理学という、数学や物理を使うような地震学は、主に国立大学でしか研究されていません。しかし、SFCでは日常的な防災教育や地震の簡単な仕組みを伝えるような、コミュニケーションを重視したアプローチを研究しています。

Q.地震は予知できるんですか?

残念ながら予知はできません。実は「予知」については定義が決まっていて、「いつ? どこで? どのくらい?」の全てがわかっていないと、予知したことにはなりません。そのため、今の科学では予知は難しいです。

でも、いつ起きるかわからなくても、やらないといけないことは同じですよね。防災のために、家具を固定したり、食料の備蓄を用意したりということはいつ地震が起こっても必要になります。「いつまでにする」という締切を設定することが大切です。

Q.地震学者としてできることは、どのようなことがありますか?

地震学は、起きた地震については見たように話すことができます。でも、地震を予知できません。地震が起きた後に何が起きたかを研究しなければ、人は何かのせいにしだすんです。起きた後にしか言えないけど、起きた後にわかっていることをちゃんと伝えることで、これからの未来に不安が残らないようにしていくことが、使命だと思っています。また、地震について一番知っている人が地震学者なので、地震が起きた時にどのような行動をすればいいか、起きる前にどのような対策をすればいいか伝えていくことも大切です。

3.<特別企画>大きな地震 あなたならどうしますか?!

本日お送りする特別企画、「大きな地震 あなたならどうしますか」では、大木先生が最近の講演会や防災教育で活用されている「防災小説」をラジオ風に体験します。

「防災小説」とは、災害が発生した際の対応や準備、避難方法などをテーマにした小説のことで、フィクションの物語を通じて読者に防災意識を高めてもらうことを目的としています。小説の最後には、どのように生き残ってどうなったら良い結果を迎えられているのかを描きます。

今回は、ラジオの中で防災小説を体験するということで、もし明日、14時ちょうどに大井町を震源とした震度6強の地震が起きたと仮定します。そのとき、あなたならどのように対応するのか考えます。このコーナーは大木先生とパーソナリティの対話形式で行われました。

大木「地震が起こった時どこにいますか?」

能願「アルバイト中なので、自由が丘のカメラ屋さんで仕事をしています」

大木「そのとき、グラグラっと立っていられないような大きな地震が起きたとしたら、どうしますか?」

能願「私はアルバイトという立場なので、施設内にいる人の誘導をしますね」

大木「立っていられないぐらいの揺れだけど、対応できますか?」

能願「難しいかもしれないです。今まで誘導する立場に立ったことがなかったので、今考えると恐ろしいです」

大木「商品とかは大丈夫?実はショーケースの中にある商品も、重力加速度も影響してガラスを割って商品が飛び出てくるかもしれないです」

能願「そしたら、店舗がショーケースで囲まれているので、外に誘導した方がいいですね」

大木「それに加えて、お客様で怪我をする人がいるかもしれないですよね。意外と地震の映像とか見ても、『ガシャガシャ』ものがぶつかったり」

能願「それは考えてなかったです、、不安です、、」

大木「想定外のことが起きるので、冷静に判断できることが難しいですよね、マニュアル以外のこともやらないといけないことも多いです。」

能願「改めて考えてみます!!」

大木「つづいて、塚本さんいってみましょう。地震がおこった時どこにいて何をしていますか?」

塚本「湘南藤沢キャンパスで授業を受けています」

大木「授業を受けている教室はどんな感じですか」

塚本「大きい教室で100人くらいいると思います。地震が起きたら、机の下に入ると思いますが、大教室の授業なのでぱっとは入れないですね、、」

大木「周りはどうなっていますか?」

塚本「みんなパニックになってると思います。まず、私自身が大きな揺れの経験がないので、自分でも何していいかわからないです。先輩か先生に何していいか聞きます。」

大木「じゃあ、先輩の江夏くん、どうしますか?」

江夏「僕もわからないです。ただ中高の時、地震が起きたら校庭に出ていたので、とりあえず外に逃げると思います。」

大木「そうしたら、みんなぞろぞろ江夏くんについていくかもしれないですね、でも外に出てからどこにいくのかわからないですよね、、」

塚本「どこにいっていいかわからなくて、みんな不安になりますね」

大木「首都直下地震が起きると、交通機関が止まるので家に帰るのも難しいですよね。家族との連絡も取れなくなるけど、家族はどう思ってるんでしょうか?」

塚本「連絡取れないのは不安です。大学のことも知らないと思うし、どうしましょう」

大木「こういうように、あらかじめ家族と話し合うことは必要ですね。防災小説の重要な点は、最後は希望を持った終わりを作ることです。地震が起きていろいろあったけど、その後どのようにいい方向にいったかを考えます。能願さんはどのような終わり方にしますか?」

能願「最後は、お客様も店員も全員無事で、地震が起きた後日に素晴らしい対応をしてくれたこのお店で買い物して欲しいな、と思ってもらうような終わり方にしたいです」

大木「いいですね。アルバイトでここまでお店のことを考えているのは素晴らしいです。塚本さんはどうですか?」

塚本「家族全員無事で、元気に自宅に戻ることがハッピーエンドです」

大木「そうすると、急いで帰ろうとすると、火災に巻き込まれたり帰宅困難者になってしまうので、安全なところでおのおの留まってもらって、電車とか復旧してから会えるようになりますね。このように、どうなったらハッピーエンドに終われるのかということを考えながら、防災対策をすることが防災小説の役割ですね」

大木先生、ラジオ版防災小説講座をありがとうございました。

4.エンディング

今回は大学1年生の塚本さんが初登場、慶應義塾大学環境情報学部大木聖子准教授にきていただきました。塚本さんは、中高時代のお昼の放送とは規模が違っていてしかも生放送で失敗できない!と思っていて、とても緊張していた様子でした。これからたくさん出演して、もっと大井町のことを好きになっていってください!

ゲストの大木先生のお話を通じて、防災に対する興味がさらに深まりました。先生の話し方はとても具体的で、その場面を思い浮かべながら、自分だったらどう行動するかを自然と考えさせてくれるものでした。

大木聖子さん、本日は本当にありがとうございました!

 

■今回放送した楽曲

・OPテーマ:あいみょん『ハルノヒ』

・斉藤和義 『歩いて帰ろう』

・WANIMA 『やってみよう』

・宇多田ヒカル 『One Last Kiss』

・aiko 『be master of life』

「みらいの大井町をつくる・ラボ(FMしながわ)」の10月放送をご聴取いただき、誠にありがとうございました。秋学期が始まり新規メンバーを迎え、ますます活発に取り組んでまいります。来月、11月回もぜひお聴きください!

次回、第56回放送は、11月6日(水)18時〜です。番組では、リスナーの皆さんからのおたよりを募集しています。

X(旧Twitter)Instagramアカウント:@oimachi_lab
公式ハッシュタグ: #大井町ラボ
番組の感想やメッセージ、要望、アイデアなど、どしどしお送りください!

(レポート/慶應義塾大学  環境情報学部3年 江夏大也)

 

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