
インクルーシブ教育や障害者と健常者の相互理解にスポーツを通じて取り組まれている塩田琴美先生。普段の研究室では、企業との協働プロジェクトやスポーツイベントを通じたフィールドワークを中心に実践知を培っています。今回は「みらいのまちをつくる・ラボ」での研究についてインタビューに答えていただきました。
インタビュアー
総合政策学部 塩田琴美研究会 荻君成
「みらいのまちをつくる・ラボ」での研究について
荻:「みらいのまちをつくる・ラボ」で塩田先生が取り組まれるプロジェクトについて教えてください。
塩田先生:みらいを創造する新しいバリアフリーの町づくりですね。全ての人にとって、ソフトにもハードにもバリアがなく、心地よく住みやすい町づくりに取り組みたいと考えています。
荻:研究に取り組む上での前提課題について教えてください。
塩田先生:私は主に障害者の方を対象とした社会課題の解決に取り組んでいます。障害者の方にとっては、公共施設や公共機関などのインフラ面だけでなく、人々の障害理解といった心のバリアも存在すると考えています。
塩田琴美研究会でのプロジェクトについて
荻:塩田琴美研究室における研究プロジェクトについて教えてください。
塩田先生:現在の研究会では、主にダイバーシティやインクルージョンをテーマとし、障害者の社会参加や社会課題をスポーツをツールとして解決していくことに取り組んでいます。障害者やこれからの高齢化社会に向けて、1つの分野に捉われず学生には、就労、教育、スポーツの分野など、他分野にまたがったプロジェクトに関わってもらい、現場で実際に関わっているみなさんと協働し取り組んでいます。
荻:そういった研究活動がどう「まちづくり・ラボ」に還元されると考えていますか。
塩田先生:私が取り組んでいるダイバーシティ、インクルジョンのコミュニティやバリアフリーな町づくりには、様々な課題が複雑に絡み合い、社会課題となっています。その解決のためには、ハブとなる機関が必要となります。また、長く社会が解決できない課題に対し、当事者の気持ちや現場の意見が反映されることが重要となり、学生を中心に柔軟な発想と若い力強いパワーで物事に取り組んでくれることで新しい解決策が見いだせるのではないかと考えています。
SFCでのバリアフリー調査の様子
荻:企業と提携しての活動も積極的に行われていると思いますが、そちらのプロジェクトについてもお聞かせください。
塩田先生:プロジェクトには、企業、自治体、学校など様々な方々に関わってもらっています。そこで働く方々からは、最新の取り組みや一組織間で解決できない現場でのお困りごとが浮き彫りになります。そうした中で、現在や未来について今何ができるかを一緒に考えることで、win-winの関係を作り持続的にその課題に共に向き合い、新しい未来を作り上げることができると考えています。
企業との協働プロジェクトの成果発表
荻:企業との活動を積極的に行なっていく中で得られるものは何でしょうか?
塩田先生:学生には、卒業してからのキャリアやロールモデルになる人をみつける場であったり、様々な立場から色々な視点での考えを聞くことができ、学外の方からの刺激を受けとても成長を感じます。また、学生の純粋な意見や疑問が現場の方の凝り固まっていた視点のブレイクスルーの機会になったり、新しいアイデアや気づきになり、これまでと違った発想で新しい取り組みをはじめることができたとフィードバックをもらうことが多いです。
「みらいのまちをつくる・ラボ」でのみらい
荻:最後に、このラボに参画しているみなさんとどういうみらいを目指しますか。
塩田先生:このラボには、様々な分野の教員が関わられています。私が取り組み分野には、それぞれの分野の専門的な知識が必要となります。このラボに関わるみなさんと一緒に、時には楽しみ みながらも楽しく新しいみらいを作り上げていきたいと考えています。
荻:ありがとうございました。
国際障害者デーに開催したオンラインイベントの様子